複屈折(ふくくっせつ)とは、
光線がある種の物質(例えば
方解石という
結晶)を透過したときに、その
偏光の状態によって、2つの光線に分けられることをいう。それぞれは
通常光線と
異常光線と呼ばれ、
光学軸に対する偏光方向(電場ベクトルの向き)が異なる。この現象は,それぞれの偏光の向きに対して2つの異なる物質の
屈折率を与えることで説明される。物質を透過する時の光の速さが、透過する光の
電場ベクトルの向きに依存していると言い換えることもできる。
ここで
は通常光線についての屈折率、
は異常光線についての屈折率である。二つの光線についての屈折率は入射光が
光学軸と同軸で入射するときは一致する。通常光線についての屈折率は入射光の光学軸に対する角度には依存しない。一方で、異常光線についての屈折率は入射光の光学軸に対する角度によって変化し、入射光と光学軸のなす角が垂直の時に最大になる。
もっと一般的には、
異方的な誘電体の
誘電率をランク2の
テンソル(3×3行列)で記述する。複屈折性の物質は実対称誘電率テンソル
の特別な場合であり、3つの直交する偏極主軸についての固有値が
、
、および
であるものに対応する(または、光の伝播方向を固定して考え、残りの2つの軸だけを考えることもある)。